ウイルス検査法

AIナノポアが感染症対策を変える

2000年以降、数年おきに新しい感染症が世界中で発生しています。こうした新興感染症に立ち向かうには、ワクチン、治療薬、検査の3つが不可欠です。しかし、この3つすべてが揃っている感染症はごくわずかしかありません。

ワクチンや治療薬の開発には10年以上の歳月と莫大な費用がかかります。そのため、いざ完成した頃には感染症が収束しているケースも多く、企業にとっては大きなリスクです。このため、現実的な対策としては、検査によって感染者数や感染地域を特定し、感染の拡大を防ぐことが重要になります。

しかし、新たな感染症が流行するたびに一から検査方法を開発していては、迅速な対応は困難です。そこで求められているのが、少しの変更でさまざまな感染症に対応できる「検査プラットフォーム」です。

私たちは、AIとナノポア技術を融合した「AIナノポア」という技術で、新しいウイルス検査法の研究開発を進めています。この技術を使って開発した新型コロナウイルスの検査法は、唾液をろ過するだけの簡単な前処理で、わずか5分間の測定で90%以上の高い精度を実現しました。さらに、AIナノポアは、学習データを変更するだけで変異株の検査法にも対応可能です。

現在、私たちはこの技術をインフルエンザなど他のウイルス検査にも応用しています。簡単かつ短時間で高精度なウイルス検査法を開発し、新興感染症による人々の健康や社会、経済への被害を最小限に抑えることを目指しています。


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