地球外生命探索

「宇宙に生命は存在するのか?」—それは、人類が古くから抱き続けてきた大きな問いです。 現在、私たちはこの壮大な謎に挑むため、画期的な技術開発を進めています。

新技術で生命の痕跡を探す

月や火星の表面は、強い宇宙線や昼夜の激しい温度差にさらされており、生物のDNAやタンパク質がそのままの形で残っている可能性は非常に低いと考えられています。しかし、生命の痕跡は別の形で残っているかもしれません。  ここで鍵となるのが、アミノ酸です。アミノ酸には、L体とD体という2種類の光学異性体(鏡像関係にある分子)が存在します。地球上の生命を構成するアミノ酸は、ほぼL体でできています。もし月や火星の地表でアミノ酸が発見され、それがL体に偏っていた場合、それは過去に生命が存在した有力な証拠となるのです。

現場で分析する「一分子計測」とAI

私たちは、このアミノ酸のわずかな偏りを検出するため、「一分子計測」という超高感度な技術とAIを組み合わせたシステムを開発しています。  このシステムは、月や火星の過酷な環境でも機能するように設計されており、極微量の分子をその場で直接分析し、AIが生命の痕跡を解析します。  2018年からは、NASAの協力を得て、マサチューセッツ工科大学(MIT)やハーバード大学との共同プロジェクトとして、この技術の実用化に取り組んでいます。これまでに、月、火星、そして無重力環境でのアミノ酸の一分子計測に成功しました。  この最先端の技術が、いつか「宇宙に生命は存在するのか?」という問いに答えをもたらしてくれるかもしれません。

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