量子コンピューターで「一瞬でわかる」未来へ
量子コンピューターは、驚異的な速さでの計算や、絶対に解読されない究極の暗号通信を可能にすると期待されています。この革新的な技術を、私たちは生命科学の分野に応用しようとしています。
なぜ遺伝子情報なのか?
量子コンピューターに最も適しているのは、「量子干渉効果」を持つ情報だと考えられています。 私たちの研究では、分子レベルで生命情報を解析する「生体分子シークエンサー」から得られるデータに、この量子干渉効果が含まれていることを2010年の実験で証明しました。 人間の情報の中で、最高レベルの機密性と超高速での解析が求められるもの—それは、私たちの遺伝子情報と、がん治療に不可欠ながん抗原ペプチドの情報です。これらはまさに、生体分子シークエンサーが生み出すデータそのものです。 量子コンピューターは、このような量子的な性質を持つ情報を扱うのに最適であり、生体分子シークエンサーのデータは、量子コンピューターにとって最高のキラーアプリ(決定的な用途)になると私たちは考えています。
目指すは「未来の医療」
採血をするだけで、瞬時に遺伝子検査の結果がわかり、同時に最適な治療薬の情報も手に入る。 そんな未来を実現するために、私たちは現在、共同研究者と共に量子コンピューターを使った新しい解析手法を理論から構築し、実際の量子コンピューターを使って検証を進めています。
